昨年85歳で亡くなった奥村彪生さんは伝承料理の研究家として知られる。日本人が時代に応じて何をどのように食べてきたか、伝承されてきた文化を古文献から探った。きょうの料理の講師としても人気を集めた。昭和12年、和歌山県生まれ。両親は惣菜屋を営み、11人兄妹だった。1956年に近畿大学・理工学部電気工学科に進学したが、料理研究家・土井勝に憧れて中退。土井の料理学校に入学した。わずか2ヵ月で職員に抜擢され、修行を経て教える側になった。料理をより深く知りたいと思い、全国各地を回って地域の家庭料理を調べ始めた。平城京遺跡で出土した奈良時代の木簡をきっかけに古代料理の復元にも挑戦した。様々な料理の復元に携わり、鬼平犯科帳に登場する料理も復元してみせた。日本にとどまらず、中国・福建省も訪れた。料理だけでなく、調味料や食器の歴史も探求した。69歳で大学院に進学し、「めん」の研究で博士号を取得した。