1960年、道路工事の検査に赴いた会計検査院の映像を伝えた。現在職員は1200人ほどでトップが検査官。天皇の認証式を経て就任する重責は大臣などを変わらない。会計検査院の誕生は明治時代で、当時大蔵省トップだった大隈重信が国の会計を監督する独立した機関の必要性を訴えた。会計検査院は内閣に対し独立の地位を有すると定められ、国会にも裁判所にも属していない。権力の濫用を防ぐため検査官3人による合議制ととった。いま検査官が注視している一つは国土強靭化計画の名のもと別の意図でお金が使われているケース。宗像市は宗像大社の前の道を無電柱化した。無電柱化は国土強靭化計画の一つだが対象は緊急輸送道路に限られており、無電柱化した道路は工事した当時緊急輸送道路ではなかった。取材に対し宗像市は「良好な景観形成のために実施した」と回答した。計画本来の目的と違う事業に使われた総額は672億円に達する。会計検査院の指摘に所管する内閣官房は「一致する事業以外の事業を実施してはならないことにはなっていない」とした。コロナ対策で増額された緊急支出用「予備費」についても注視している。コロナ禍ではワクチン確保や時短要請協力金として使われたが、以前の5000億円前後からコロナ禍で10兆円前後に跳ね上がったまま元に戻っていない。田中検査官は「どこかの段階で検証を入れて管理ができる状態にしていかなきゃいけなかった」などと話した。