今回の方針転換、なぜこのタイミングになったのか。野党だけでなく参議院の審議では与党の公明党、さらには身内の自民党からも、いわば突き上げが相次いだことが大きかったと思う。ある与党議員は「地元や地方を回っていると、多くの怒りの声が聞かれる」と話していた。参議院ではこの夏に選挙が控えているという事情もあるように思う。参議院で審議されている新年度予算案への影響について。政府与党にとっては年度内成立を目指すというこの目標は変わらないが、影響がないとはいえない。衆議院を通過した予算案を仮に参議院で再び修正するとなると改めて衆議院で採決する必要が生じるため、異例のことといえる。自民党の閣僚経験者からは「朝令暮改と映りかねない」といった懸念も出ている。なぜこのタイミングでの決断となったのか、財政が厳しくなる中、どう持続可能な制度としていくのか、今後の国会審議で説明が求められることになる。