神奈川県箱根町は年間約2000万人の観光客がやってくる言わずと知れた人気の温泉地。そこで行われていたのは、地上からの高さ約30m、ロープ1本だけを頼りに伐採作業。そこには箱根町が抱える深刻な問題があった。箱根町の温泉宿の一角に集まる男たちの姿。特殊伐採を専門に行う新潟県の会社マルイチ。その作業を担う職人たちは空師と呼ばれ、重機が入れない場所などでロープ1本で木に登り伐採作業を行うプロフェッショナル集団。今回の依頼内容は、箱根町の県道732号沿いの木の伐採。神奈川県が撮影した写真では、道路上に落ちた木の枝が複数確認できる。木が生えている目の前には温泉宿があり、交通量も多く車や歩行者に直撃すれば大惨事にもなる。しかし片側1車線のこの道路は道幅が狭く重機は使えない。空師が木に登って伐採するしかない。今回登るのはイギリス人のポールさん。母国イギリスで7年、来日してから14年、合計21年の大ベテラン。午前10時ごろ作業開始。重機や足場を使わず固定したロープだけを頼りに慎重に登っていく。地上で待つ3人は切った木の回収やロープのコントロール、そして不測の事態に備える。道路から約30mの高さ、木の上の作業ポイントに到着した。チェーンソーを使って木を切っていく。両手が塞がれるため足でうまくバランスをとりながら行う作業は、まさに職人技。切った木は手前の電線に引っかからないよう、気をつけながらゆっくりと地上へとおろしていく。作業しているポールさんが、木が枯れているのを発見。実は去年も依頼を受けて箱根町で木を伐採した際、同じ現象があったという。ナラ枯れとは、樹木を枯らす病原菌「ナラ菌」が、昆虫を介して感染する木の伝染病。箱根町でもその被害は確認されていて、その影響で枝が落下するなどの被害に繋がっている可能性があるという。開始から3時間、この日の作業は終了した。3月末までを目安に約20本の木の伐採を計画している。
