愛媛県愛南町にある「紫電改展示館」。その中央に静かに佇むのが旧日本海軍で幻の戦闘機と言われた「紫電改」。太平洋戦争末期に最新鋭の戦闘機として生産され、当時は日本の航空技術の到達点とまで言われた。最大の特徴は自動空戦フラップと言われる装置。旧日本海軍の熟練したパイロットの多くが戦士したため、経験の浅いパイロットでも敵の攻撃をかわしやすくするため旋回する性能を高めた。世界に現存する紫電改はわずか4機。国内ではこの1機のみいわれている。愛媛県沖の海底で発見され、1979年に引き上げられたこの機体はその後の調査で終戦間近に豊後水道上空で交戦し帰還しなかった6機のうちの1機と判明した。1980年の展示開始から45年。展示館では現在、建物の建て替え工事が進行中。ただ、紫電改の機体を傷めないように移動させるには多額の費用がかかることがわかり、愛媛県は先月からクラウドファンディングを開始。今月10日の時点で目標額の3800万円を上回る寄付が集まっている。紫電改を通して平和を願う動きは鹿児島県でも進んでいる。阿久根市の沖合200mの水深3mの海に不時着した機体が80年間眠ったまま。今年4月の調査では両方の翼と2連式の20ミリ機銃が新たに発見された。海に眠るこの紫電改を引き揚げて展示し、戦争の実像を伝えたい、そんな願いを抱く地元有志が、今年NPO法人を立ち上げた。NPO法人は今後クラウドファンディングなどで資金を集め、今年中に引き揚げ作業を開始したいとしている。
住所: 愛媛県南宇和郡愛南町御荘平城