授賞式に出席する長崎の被爆者、横山照子さん。日本被団協の代表理事を務めている。今回、横山さんは亡くなった妹から贈られた花飾りを胸につけ、式に臨むことにしている。横山照子さん83歳。おととい、出発を前に取り出したのはピンクの花飾り。妹から贈られた掛けがえのない宝物。3つ下の妹、律子さん。1歳のとき、爆心地から4.1キロの自宅で被爆した。まもなくリンパ腺が腫れるなど体に異変が現れた。幼くして手術を受けた。治療のため学校にも満足に通えなかった律子さん。その後、結核や緑内障も患い、44歳で亡くなるまでほとんどを病床で過ごした。律子さんが心境をつづった日記が残されている。手芸が好きだった律子さんは病床でよく作品を作っていた。いつも寄り添ってくれる姉に喜んでもらいたいと贈ったのが花飾りだった。病におかされながら必死に生きた妹。横山さんはそんな妹をいつもそばに感じていたいと大切に保管してきた。そして今回、原爆に苦しめられた妹にこそ見届けてほしいと授賞式で初めて花飾りを身につけることにした。横山さんは現地で高校生との交流も予定しているということで妹のことや原爆の悲惨さを伝えたいと話していた。あすは広島の原爆で親族8人を亡くし、若い世代に向けて証言を続けてきた87歳の女性の思いを伝える。