企業の業績が好調な一方、日本の経済にとって気になるデータも発表された。ことし3月の家計調査(総務省)。2人以上の世帯が消費に使った金額は、1世帯当たり31万8713円と、物価の変動を除いた実質で、前の年の同じ月と比べて1.2%減った。消費への支出が前の年の同じ月を下回るのは13か月連続。景気のけん引役となるべき消費が伸び悩んでいる。背景にあるのは、物価の上昇に賃金の伸びが追いついていないことがあるが、そこに円安傾向の長期化も影響を与えている。東京・墨田区のスーパーを取材。果物などさまざまな商品が値上がりしている。特に値上がりしているというのが、外国産の農産物。米国産のレモンの価格は去年の2倍。牛肉は国産と外国産の価格差が縮まってきたという。値上がりが続き、たびたび値札を変更しているという商品も。スーパー・五味衛社長は「オリーブオイル。根がん揚げるほうが間に合わない。仕入れるたびに上がっている」と語った。こうした値上がり、天候不順による品薄などに加え、長引く円安が影響しているという。食料や農産物の問題に詳しい東京大学大学院・鈴木宣弘特任教授は「日本が食料品をはじめ輸入依存度が高い構造にある。円安、海外は異常気象で(農産物が)とれない状況が出ている。気がついたら国産のほうが意外に安いというものも増えてきている。消費行動を身近なところに目を向けていくことが求められている」と述べた。買い物客のコメント。日本経済の今後のポイントについて、みずほ証券チーフエコノミスト・小林俊介氏は「物価の上昇に賃金が追いつけておらず、これを反転させられるかが焦点。物価の上昇が収まるか、来年にかけて高い賃上げが実現できるかが重要」としている。