難民申請者をルワンダに移送するイギリスの政策を一貫して批判してきたグランディ氏は、この政策によってこれまで築き上げられた難民保護の原則が崩れかねないという危機感を抱いていた。世界の難民・避難民の8割近くは近隣の発展途上国にとどまり厳しい環境に置かれている。先進国であるイギリスが難民保護を他国に肩代わりさせるようなことがあれば、世界中が追随してしまうおそれがあるとした。カリフォルニア大学のテンダイ・アチウメ教授は、故郷を追われる人々の境遇を先進国が理解し直すことが重要、先進国が国境を守るために暴力的な政策を続ければ人命や自由を尊重するという民主主義の原則を失ってしまう可能性があると指摘した。難民申請者の中には自ら命を絶つ人も出ている。クパキオさんはウェールズの人たちに想いを伝えたいとイベントを開き「ここに来てあなたたちいは僕を迎え入れてくれた、居場所を手に入れられたと感じた」などと訴えた。かつて難民保護への理解を世界広げた緒方貞子氏は、難民を守っていくことが世界の平和につながると、内向きな思考に陥らないよう警鐘を鳴らし続けた。