中国政府は大使館をイギリス・ロンドン塔の向かいにある旧王立造幣局跡地に移転する計画を進めている。近くにはロンドン金融街がある。ロイター通信によると中国はこの跡地を約2億5500万ポンド、現在のレートで日本円で約490億円で購入した。敷地の広さは約2ヘクタール。大使館が完成すればヨーロッパ最大規模のメガ大使館が誕生することになる。この大使館を巡り、ニューヨーク・タイムズは大使館に近い金融街の地下には光ファイバーケーブルが通っていて、中国が反体制派や一般のイギリス人を監視するために利用するのではという指摘があると伝えている。この場所へ大使館を移転する話は2018年からで、当時は警察が住民の安全性などの懸念から反対し、区議会は2021年移転計画の申請を却下。しかし去年7月スターマー政権が誕生。同月、中国政府は再び移転申請を提出するも区議会は再び却下するが、先月、イギリス・ラミー外相やクーパー内務相が移転計画を暫定的に支持。今後はレイナー副首相兼住宅相が決定を下す予定。スターマー政権が中国に歩み寄りの姿勢を見せている要因について、明治学院大学・池本大輔教授は「スターマー政権は経済立て直しが最優先課題。中国からの投資に期待している面がある。国際秩序の先行きが不透明な中、中国というカードを持っていたいのでは」と推察している。増田ユリヤ、池上彰はスパイ活動について十分可能性があると指摘した。