10歳のみなとくんは聴力は問題ないのに言葉を聞き取ることが難しい「聞き取り困難症」を抱えている。そのため、家でのやり取りは文字で伝えている。工作が得意なみなとくん。みなとくんの場合、耳で聞いた場合言葉の理解や記憶が難しいため、情報を視覚化することを大切にしている。私たちは耳から入ってきた音や声に対し、必要なものに意識を集中させるといった注意機能や記憶、言語理解など様々な脳の情報処理によって意味を理解している。「「聞き取り困難症」はこの時の脳の情報処理に何らかの問題が起き、聞き取りにくさが生まれると考えられている。「聞き取り困難症」は阪本医師ら国の機関の研究班により診断の手引きがおととし公表されたばかり。診断できる医療機関はまだ少ない。しかし研究班の調査では少なくとも100人に1人が症状を抱えている可能性があるという。元々発達障害があるみなとくん。「聞き取り困難症」と診断されたのは7歳の時だった。当時研究を行っていた大学や複数の病院を訪ね、「聞き取り困難症」と診断された。実際、「聞き取り困難症」の人はどのように音を認識しているのか?例えば賑やかな学校の教室で先生の話を聞く時、周囲の音と混ざって言葉が認識できないケースや言葉が抜け落ちて部分的にしか認識できないこともあるという。聞き返しや聞き間違いが多い、口頭で言われたことは忘れたり理解しにくかったりする、早口や小さな声が聞こえにくいなどの症状があれば「聞き取り困難症」の可能性があるという。みなとくんが「聞き取り困難症」と分かったことで症状に合わせた生活の工夫ができるようになった。みなとくんは毎日その日のスケジュールを自分で書くようにしている。みなとくんの場合、周囲に雑音が多い環境や複数人が話す環境での聞き取りも苦手だという。そのため、外出のときに使っているのが補聴援助機器。送信機を通じた話し声が受信機に直接届くため、聞きたい人の声が聞きやすくなる。ただ多くの自治体では助成されないのが現状。みなとくんは学校の環境が合わず、今はフリースクールに通っている。1日の予定は相談しながら決めている。この日は家から持ってきたプリントに取り組んでいた。早期の発見で支援につながれば、学習面・コミュニケーションの困難を軽減できる可能性がある。診断ができる大阪の医誠会国際総合病院には子どもだけでなく大人も訪れている。小学生の頃から聞き取りに違和感があったという女性。大人になってから「聞き取り困難症」を知り受診した。雑音の中で話を聞き取るなど様々な検査を経て「聞き取り困難症」かどうか調べていく。月に100人近く診察することもある阪本医師は「まず悩んだら耳鼻科行って聞こえの検査してちゃんと調べてもらってください」と話した。同じ症状を抱える人の交流も広がっている。交流会では話が理解できやすいように自動で文字起こしした内容をモニターに映していた。今まで周りに理解されなかったことも共有できる助け合いの場になっている。みなとくんは釣りに行くのが大好きで将来の夢は漁師だという。
