歴史的な円安を追い風に輸出が多い大企業の好業績が相次いでいる。原材料を輸入に頼る中小企業からは諦めの声が上がっている。決算集中日。NTTはコスト削減などによる営業利益は1兆9229億円に。円安が影響して海外でのインフラ事業なども好調だった。トヨタ自動車はおととい3月までの年間決算を発表。半導体不足の解消や世界での自動車の販売台数の増加、円安などが影響し、営業利益は国内の上場企業初となる5兆円の大台に乗せた。ANAも国内外からの観光需要の回復もあり売上高、最終利益ともに過去最高を更新。気候変動などでカカオそのものの相場が上がっていることに加え円安などの影響で輸入価格も上昇したことなどから明治は商品の値上げに踏み切った。会見でNTT・島田明社長は「増収のうち為替の影響は約2000億円」、トヨタ自動車・佐藤恒治社長は「今期は意志を持って足場固めに必要なお金と時間を使っていく」、ANA HD・芝田浩二社長は「心地よ円の水準はいくらかと言われると125円ぐらい」、明治ホールディングス・川村和夫社長は「カカオが倍から3倍という状況で高騰を続けている」と話した。国が発表した海外との物やサービスなどの取引を示す経常収支、日本が海外との貿易や投資でどれだけ稼いだかを示す金額は25兆3390億円と過去最大の黒字(財務省国際収支統計から)。3月の物価の影響を考慮した実質賃金は去年の同じ時期と比べて2.5%減少、過去最長となる24か月連続のマイナス。中でも中小企業は特に厳しさを増している。2年前、コロナやウクライナ戦争などで原材料費高騰の影響を受けていた会社。東京都大田区の本社を訪ねると現在は別会社に。工場は山梨県韮崎市に移転。自動車用のプラスチック部品や医療器具に使う部品の製造を行う日進工業。竹元盛也社長は「自分の会社を守ることは社員を守ることにつながる。そのためにどうするか考える。為替と企業努力は直結しない」など話した。