4月中旬、池端隼也は収入を無くしたもの同士、みんなで一緒に居酒屋を運営することはできないか?と考えていた。しかし被災地で経営が成り立つのか、みんなを巻き込んでいいのかとも思っていた。その時、やろうと励ましてくれたのは河上美知男だった。池端は貯金をはたき、地震で空いていた店舗を買い取った。新しい店で働くことを決めたのは14人。8月のオープンを目指した。みそ蔵が壊れた立野誠一朗も参加を決めた。一報を聞いた中小路親子は鮮魚店を再開させていた。自分たちが地元の魚を卸さなければ飲食店は営業できない。8月8日、居酒屋「芽吹」がオープンした。しかし9月21日、今度は豪雨が輪島を襲った。芽吹は無事だったが川沿いの飲食店は深刻な被害を受けた。被害が大きかったのは河上美知男の店だった。河上美知男は「芽吹」で働きながら営業再開に向けて8か月かけてコツコツ修繕してきた。春には店を開けるはずが建物を取り壊さざるを得ない。見舞いに訪れた池端隼也。しかし河上美知男は笑顔で「やる気でてきた。ここまでやられたらやり返さないと」などと話した。河上はボランティアの人々が支えになったという。その晩、炊き出しのメンバーが「芽吹」に集まり無礼講の飲み会が開かれた。それは彼らの二度目の決起集会だった。翌朝、メンバーたちは再び避難所への炊き出しを始めていた。炊き出しを離れていたメンバーも応援に駆けつけた。炊き出しは11月いっぱいまで続いた。
住所: 石川県輪島市マリンタウン6-1