「日本の伝統 みそぎ」(昭和40年)を紹介。初夏の伝統「夏越祓」。古式豊かななにわの夏の風物詩・茅の輪くぐり。祓い具を手に茅で作った輪をくぐり、汚れを払い、我が身の無病息災を祈る。やがて輪抜けが終わると御幣でかたどられた川に払い具を捨て流す。様々な祭りが祭礼化された平安の世に始まったものだが、1年の中元にあたる6月は12月と共に信仰生活の中でけじめをつける大切な時期だ。夏越は「和す」、つまり荒れた魂を和めるんだともいうが、すべては何かにつけて縁起を担ぐ日本人の心理の表れのひとつである。映像で紹介した大阪・住吉大社は現在も行っており、旧暦の6月ということで、7月末に行われるという。この行事は1000年以上前から続くとされているが、葛飾北斎の富嶽百景の中に「茅の輪の不二」という作品がある。火の輪があり、真ん中に富士山。さらに木から流れてくる水で人々が身を清めているようにも見える。かつてから多くの人の日常にあった行事であることが分かる。