新学期が始まった子どもたちの心のケアについて考える。1学期に学校に居づらさを抱えていたり、不登校だったりする子どもが夏休みを過ごす中でもう一度学校に頑張って行ってみようという気持ちを抱いて2学期に登校することがある。しかし学校に通い続ける中で気を張ったこともあってストレスがたまり、より心が追い込まれてしまうというケースがある。子どもたちをどう支えればいいのか、都内にある子どもの支援施設を夏休みの間から取材した。子どもの居場所支援活動を行う一般社団法人子ども村ホッとステーション(東京・荒川区)。地域の学生スタッフなどが不登校になったり生きづらさを抱えたりした小学生から高校生までの子どもたち20人ほどの面倒を見ている。施設を立ち上げた代表の大村みさ子さん。モットーは子どもたちのありのままの姿を受け入れること。夏休みの間、大村さんが特に気にかけていた子どもがいた。高校1年生のやよいさん。自宅がある東京から離れた地域の高校に入学したが、5月から通えなくなっていた。学校での先生との人間関係に悩んできたというやよいさん。それでも夏休みの間に考え抜いた結果、2学期からは学校に通いたいと思うようになった。この日はやよいさんが通う高校の2学期が始まる前日。やよいさんは母親と共に東京から離れた地域の高校の寮に向かった。翌日からおよそ3か月ぶりの登校となる。1週間後。大村さんのもとにやよいさんの母親から連絡が届いた。やよいさんが高校の寮から自宅に戻ってくることになったという内容だった。その翌日、やよいさんが施設に戻ってきた。最初に向かったのは大村さんのもと。大村さんはやよいさんの手を握ったままことばをかけた。実は大村さん、やよいさんが学校の寮に戻ったあとに一人孤独を感じる中、自傷行為をしていたことを母親から聞いていた。