路地でも口切の茶事の準備が進められている。青竹は口切の茶事を祝うごちそうだと庭師は言う。路地の木の葉が内弟子たちによって一枚一枚清められる。茶事の舞台となる不審庵。表千家を代表するわび茶の庵。茶室特有の狭いにじり口。利休以来のもの。武士も刀掛けに刀を置いて茶室に入った。不審庵とは千利休が禅を学んだ古渓和尚の詩からとったもの。本心で交わることのできる究極の空間、それが利休の考えたわび茶の世界。利休辞世の句として表千家に伝わるもの。天正19年2月、わび茶を完成させた千利休は秀吉の怒りに触れて切腹。千家は一度断絶。その後徳川家康のとりなしで少庵は京へ戻ることを許され、千家は再興。
住所: 京都府京都市