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京都・表千家の者たちは元日を迎える中、残月亭に集まり蝋燭が揺らぐ中で千宗左家元が茶を点てるのを待つ。毎年この茶室で新年を迎えるのだといい、家元自ら点てた茶を回し飲みしていく。家元の家族と高弟だけしかここに入ることが出来ないのだといい、無言でそれぞれが嗜んでいく。千利休以来400年の伝統となっている。
京都・鴨川の小川通りは名水で知られ、表千家と裏千家が位置している。表千家の大門は紀州徳川家から拝領したものとなっていて、表千家は千利休を祖とし裏千家・武者小路千家の本家となっている。中潜りと呼ばれる門は俗世間とわび茶の世界を区切るものなのだと言い、新年の儀式が行われた残月亭は秀吉が利休屋敷から残月を眺めたことが由来となっている。表千家の朝は玄関と呼ばれ名前の通り玄関で寝泊まりする内弟子による掃除から行われ、家元の厳しい目にかなったものだけが入門を許される。朝食までに来客用の煙草盆をととのえるなどの雑事を通して茶の修行をしながら育っていく。煙草の火を付けやすいように炭火は少しかしげておくのだと言い、煙草盆の整え方にも型はある。そして、僅かに障子を開けることで来客を歓迎するのだという。
表千家には5つの蔵があり最も古いものは400年前に茶室を開いた時のものであり、家元しか入ることを許されていないのだという。蔵には千利休以来の家元の道具が収められ、どの蔵に何が入っているかは家元だけが知るのだという。10月半ばになると「口切の茶事」という最も格式の高い茶事が行われ、昔家で使われた道具が次々に姿を表していく。家元にとっては先祖たちの思いを道具を通して知らされる一瞬となっている。そこで今回は400年前の茶壺や水指しなども使う子お東京に。7代目の家元が残した口切りの茶会の道具も一つもかけること無く残っていて、「山木」と呼ばれる伊賀焼の名品となっている茶入などがある。5代目の家元が使った茶杓。茶の世界では家元自作のものがその人の分身のようにひときわ大切に扱うという。ふっくらとおおらかな曲線をもつ釜(3代目の家元の好み)。釜肌に味わいを添えるくら錆び。このくら錆びを落とさないために釜肌には直接触れてはならないという。ひび割れの入った花入れ。利休が竹の花入れを作ったとき、秀吉は気に入らずにそれを放り投げた。そのとき入ったひびを利休は侘として受け止め、後の茶人たちは侘のひとつの造形として伝承してきた。利休が愛してやまなかった茶碗「禿」。表千家の侘茶を代表する茶碗。千宗左は「同じようにして同じ場所で使われている、そういうことは嬉しいことでもあるし、歴史を感じる」などコメント。
路地でも口切の茶事の準備が進められている。青竹は口切の茶事を祝うごちそうだと庭師は言う。路地の木の葉が内弟子たちによって一枚一枚清められる。茶事の舞台となる不審庵。表千家を代表するわび茶の庵。茶室特有の狭いにじり口。利休以来のもの。武士も刀掛けに刀を置いて茶室に入った。不審庵とは千利休が禅を学んだ古渓和尚の詩からとったもの。本心で交わることのできる究極の空間、それが利休の考えたわび茶の世界。利休辞世の句として表千家に伝わるもの。天正19年2月、わび茶を完成させた千利休は秀吉の怒りに触れて切腹。千家は一度断絶。その後徳川家康のとりなしで少庵は京へ戻ることを許され、千家は再興。
内弟子大切な仕事に風炉の灰おさえがある。これは内弟子から内弟子へと伝えられ、この灰がおさえられれば茶の手前も一人前と言われる。山の峰をかたどった灰型、利休は自然の景色を風炉の中にまで見ようとした。この灰おさえは修行を積んだ先輩でも数時間かかる、茶人としての修練がここに凝縮され、灰型にその人の風格が表れるという。一度完成してから火箸で崩していく。崩したものかけたものに美しさを感じるのが侘茶の心。この風炉や炉に使う灰は毎年1回必ず番茶をかけて練り直す。大釜で煮詰めた番茶は灰に侘の微妙な色を与え、同時に茶が灰を引き締めるという。使った灰がほんのわずか増えていく貴重なもの。表千家の灰小屋。この灰は利休以来代々同じものを使い続けているという。ひとさじたりとも家元の外へ持ち出すのを禁じられた門外不出の灰。この灰は乳鉢で刷り上げる。白粉のようなきめ細かさ。この音が表千家の夜の音。
京の町には茶道具を専門に作り、千家と共に歩んできた「千家十職」という人らがいる。塗師の中村家は400年以上の交流の歴史が有り、樂茶碗の樂家などが携わり、今日に至るという。11月は千家などでは正月に当たり、新茶を新たな茶壺に入れて祝うのだそうだ。口切の茶事では中にある袋に濃い茶葉が入っており、閑味を楽しむことができるという。口切の茶事には呼ばれたものしか入れず、深い関わりのある三井の豪商などが選ばれるそうだ。
茶事とは一碗の濃茶を振る舞うために4時間をかける茶会で、わびの心に貫かれたもてなしの極致だという。亭主が客をもてなしている間、厨房では懐石料理の準備が行われている。懐石は丁度よい時間に出すために茶席の様子を確認し、時間を逆算して作り始める必要があるという。茶事では懐石、濃茶、薄茶の順に振る舞われる。懐石とは修行中の僧が飢えを少しでも忘れようと温めた石を懐に入れたところから呼び名が付けられた。一汁一菜に煮物と焼物が加わった一汁三菜がわび茶の懐石の基本だという。茶懐石は濃茶の味を引き立たせるために味付けは控えめにしているとのこと。懐石が終わると亭主は着物を改め、濃茶の席に備える。1年間の準備は一碗の濃茶に収斂されていくとのこと。
大晦日、京都の人達に親しまれている祇園さんこと八坂神社では多くの人が新年に向けての参拝に訪れ、薬草の朮の火を使って雑煮を作るそうだ。新年の朝5時には若水を毎年表千家の茶のために汲みに訪れており、数百の歴史を忘れないように紡いでいるとのこと。また新年には地方で千家を教授する人らが教え子を連れて一同に介し、家元に挨拶に訪れるという。
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