サラダボウル化が進む社会に向き合うためのヒントをある街から探る。江戸川区の西葛西は多くのインド人が暮らしリトルインディアと呼ばれている。地域の産婦人科医院では訪れる妊婦の3割がインド人。妊婦の食事に工夫をしている。提供しているのは、ビーガン食。宗教などの理由で肉や卵などを食べられない人に対応した食事だ。こうした西葛西のサラダボウル化はどのようにして進んだのか。リトルインディアの父と呼ばれるジャグモハンチャンドラニさんは紅茶の貿易商として47年前に来日した。地域にインド人が増えたのはITが普及し始めた2000年前後。多くの日本企業がIT先進国のインドから人材を募った。来日してきたインド人のためにチャンドラニさんがまず行ったのが住まいの支援。当時、外国人に部屋を貸すのを渋る大家が多かったことからアパート1棟を借りて部屋を貸し出したり。連帯保証人になったりして部屋を借りる人を支援した。さらにインドから料理人を呼び寄せ、食堂も作った。単身で来日した男性たちのために食事を提供。生活がしやすい街として多くのインド人が定着した。一方で祭りなどで火を使うインドの文化や習慣がトラブルを招いたこともあったという。マンションのベランダで火を使っている人がいると警察に通報された。チャンドラニさんはこうした行為をしないよう地域のインド人に呼びかけた。全国で最もインド人が多く住む街になった今、お互いを理解する取り組みが進められている。江戸川区は日本のマナーを紹介するガイドブックを作成。電車内でのマナーのほか銭湯の入り方までイラストを交えて解説している。日本人がインド人の家庭を訪問する取り組みも広がっている。西葛西のリトルインディアを見ると、サラダボウル化が進む社会で私たちもどうやって向き合っていくか。まずは少しずつお互いのことを知ってそして少しずつお互いに歩み寄っていくということが大切とヒントが見えてきた。