ランウェイを歩くのは普段介護を受けている高齢者や障害のある人。ファッションショーを主催した楠本あやさんは介護用品の制作を手掛ける団体の代表。楠本さんは現在、高校生の娘と祖母の3人で暮らしている。はじめて家族の介護に直面したのは16年前で、祖父と母親を同時期に介護する生活を経験した。現在は認知症の祖母・玲子さんの介護をしながら、仕事を続けているが、気づかないうちに心に余裕が無くなっていることがあるという。楠本さんはアパレル業界や読者モデルなどを経験していたことを活かして介護用品にカワイイを取り入れることにした。はじめに手掛けたのは防水シート。華やかなピンク色を採用した。介護を受ける玲子さんの表情も明るくなり次第に会話が増えたという。身の回りのものや装いをおしゃれにすることで前向きにな気持ちになってほしいと楠本さんはファッションショーを企画した。大学でデザインなどを学ぶ学生などがモデルのスタイルや特徴に合わせて服を制作。ファッションショー当日、モデル14人に化粧が施されていく。最高齢モデルとして91歳の玲子さんも参加。玲子さんは楠本さんに支えられながらランウェイを歩いた。会場の一角では、片手でつけられるバリアフリーのアクセサリーなど誰もがおしゃれを楽しめるアイテムを販売するブースも設けられた。