この年末も心配な闇バイト。その対策への切り札となるのか。17日政府が打ち出した緊急対策の中に盛り込まれたのが仮装身分捜査という新たな手法。警察庁長官は「雇われたふり作戦をするのにこれが必要だ」と強調している。これは警察官が身分を隠してスマホやSNSを使って闇バイトの募集に応じて、強盗をするために実行役が集合したところを強盗予備などの容疑で一網打尽にしようという作戦。検挙することで犯行を未然に防いで実態解明につなげることや、犯罪組織側もバイトの応募者に警察官が紛れ込んでいるんじゃないかと思ったら募集しづらくなる。こうした抑止の効果が期待されている。ただ、問題は警察官が応募する時に免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書を求められるケースが多いこと。警察官などが必要性を強調しているのが仮装身分捜査。警察官が架空、つまり偽物の免許証などを作って画像を送信することで捜査員だとばれないようにする。偽の身分証を使うことは本来、違法行為だが刑法には正当な業務による行為は罰しないという規定があるため警察庁は正当な行為として認められると位置付けている。おとり捜査というのはこれまで薬物捜査などで限定的に行われてきたが、警察官などが身分を隠して相手に近づき、そして密売人に売らせるなど犯行を実行するように働きかけてそして検挙するものと位置づけられている。また、潜入捜査は同じく身分を隠したうえで犯罪グループに入り込んで、犯行の一部に加担することも。今回検討されている仮想身分捜査は犯行を働きかけたり、加担したりすることがなく犯行に及ぶ手前で闇バイトの実行役などを検挙するためこれらとは異なると警察庁では説明している。一方で身分を偽って近づくが警察官は現場に集まった実行役の検挙なども想定しているため一定程度の危険性はある。警察庁の担当者は「身の安全は確保できるよう危険にならないようにやることが大事。そのために今回の緊急対策で作られる仮装身分捜査のガイドラインは緻密に書き込む必要がある」と話している。