1980年代、フジテレビのワイドショー「3時のあなた」がお茶の間の話題をさらっていた。この時期、競うようにワイドショーを作り始めた民放各局。“ロス疑惑”のような扇情的な事件や劇場型犯罪、人気の動物の話題など井戸端会議のテーマになるようなネタなら何でも取り上げていった。当時のワイドショーのスタッフたちは見られるネタを揃えるため懸命の努力をしていた。この傾向に拍車をかけたのは視聴率調査の速報性が向上したことだった。さらに、カメラがフィルムからビデオに変わったことで取材から放送までの時間が格段に短縮。当日の出来事もテーマに加えることができるようになった。現場で伝えるリポーターの登場は視聴者の心を揺さぶった。カメラの機動性を生かした演出もこの頃から始まった。テロップもより刺激的な手書きのものに変化した。