1軍が上位争いをしていた7月。その影で栗山は全国を駆け回っていた。甲子園の地方予選。通常ならスカウトに任せる現場にトップの栗山が自ら赴く。スカウトが判断基準とするのは球速や足の速さ、肩の強さなどフィジカル面。だが、栗山の目の付け所は違う。立ち振舞や野球への姿勢が、厳しいプロの世界で生き抜く支えになるという。1打席でも見届けたいと球場に駆けつける。全身全霊をもって選手たちの姿を心に刻む。ある夜、栗山が案じていたのは出場機会にめぐまれないある選手ついてだった。プロの選手生平均7年で1軍にあがれずに引退するケースもめずらしくない。
栗山が足しげく通う2軍の練習場。ケガをしたり1軍になかなかあがれずにいる選手一人ひとりに声をかける。「自分が必ず見ている」監督になった13年前から欠かさず伝えてきた。
栗山が足しげく通う2軍の練習場。ケガをしたり1軍になかなかあがれずにいる選手一人ひとりに声をかける。「自分が必ず見ている」監督になった13年前から欠かさず伝えてきた。