2025年2月17日放送 19:57 - 20:42 NHK総合

プロフェッショナル
心に火を、ともに未来を 〜栗山英樹〜

出演者
栗山英樹 
file:540 心に火を、ともに未来を
野球界の名伯楽 栗山英樹 “世界一”を生み出す生き様

栗山英樹さんは、野球の神様はいつもこちらを見ているという。この日はプロ野球ドラフト会議当日。神社に参拝をしておみくじを引いた。「めでたい」ということでたい焼きを食べ、ボールのマークのネクタイをしている。2年前のWBC、日本に世界一の称号をもたらした立役者。大谷翔平の才能を見出し、実現不可能と言われた二刀流に導いた。熱気の渦を生むその生き様。選手の可能性を引き出し、強豪チームを作り上げる栗山。組織をまとめる力はメジャーからも注目を集める。

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ワールド・ベースボール・クラシック大谷翔平東京都
野球界の名伯楽 熱気ある組織作りの極意

去年2月、北海道。はじめて訪ねた自宅は雪景色の中にあった。雪の中、わざわざ迎えにでてきた栗山。名監督は気配りの人だった。部屋中にあふれるのは野球への愛、アメリカ訪問のたびに野球グッズを集めている。少年の心を忘れない63歳。いま新たなステージに進もうとしていた。向かったのは沖縄。北海道日本ハムファイターズの春季キャンプに合流した。栗山は4年前まで監督を務めていた。在日中の10年でリーグ優勝2回、日本一にも輝いた。大谷翔平の二刀流を実現させた立役者としても名を轟かせる。今、栗山はこの球団で日本初のチーフ・ベースボール・オフィサーという役職に就いている。試合の采配を担う監督とは異なり、数年先を見据えた組織づくりを担う。どんな選手を揃えるかなどチーム編成に関わる全てに決定権を持つ。就任して1か月、ある課題に直面していた。チームは2年連続最下位で若手選手の育成が急務だった。現場に問題はないかこの機会にスタッフから話しを聞きはじめた。気になったのは近年メジャーで主流となっているデータの活用について。ボールの回転数やボールの角度などを分析し、センサーが示すデータと照らし合わせてパフォーマンスの改善が期待できるという。データ分析と指導者の経験値がうまく合わさればチームを大きく成長させると栗山は考えていた。

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北海道日本ハムファイターズ大谷翔平栗山町(北海道)沖縄県

栗山が向かったのは2軍の練習場。若手が切磋琢磨する球団の土台。このチームにデータ分析を浸透させるのに何が障害になるのかあらゆるスタッフを訪ねて回った。ベテランコーチの清水を呼び出した。清水は新たな試みには抵抗感があるという。一方で若いデータアナリストは順調と口にするが表情はさえない。何かできることはないか栗山は語りかける。栗山にはチームを作り上げる立場として大切にする流儀がある。「人の心に、火をともす」。次第に熱がこもり始めた。栗山は人が元気になったり、お前に進む瞬間は自分の心の中に火をともす、そのスイッチは自分でしか入れられないがそのお手伝いをすることはできると思うと話す。栗山のともす心の火は2年前のWBCでも。勢揃いしたメジャーリーガたち。選手たちの元に出向き口説き落としたのが代表監督の栗山だった。

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ワールド・ベースボール・クラシック北海道日本ハムファイターズ鎌ケ谷(千葉)

3月、栗山はアメリカを訪れた。2週間でメジャー13球団をまわり、最新のチーム運営を学ぶ。栗山は今、頭を悩ませている問題をぶつけた。耳にしたはデータ分析とコーチをつなげるメジャーならでは専門職・コーディネーターだった。コーチとデータアナリストの意思疎通を手伝う役割を担うという。

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アメリカタンパベイ・レイズテキサス・レンジャーズトロント・ブルージェイズミネソタ・ツインズロサンゼルス・ドジャース北海道日本ハムファイターズ
野球界の名伯楽 栗山英樹 トップとして問われる覚悟

1軍が上位争いをしていた7月。その影で栗山は全国を駆け回っていた。甲子園の地方予選。通常ならスカウトに任せる現場にトップの栗山が自ら赴く。スカウトが判断基準とするのは球速や足の速さ、肩の強さなどフィジカル面。だが、栗山の目の付け所は違う。立ち振舞や野球への姿勢が、厳しいプロの世界で生き抜く支えになるという。1打席でも見届けたいと球場に駆けつける。全身全霊をもって選手たちの姿を心に刻む。ある夜、栗山が案じていたのは出場機会にめぐまれないある選手ついてだった。プロの選手生平均7年で1軍にあがれずに引退するケースもめずらしくない。

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刈谷(愛知)北海道日本ハムファイターズ徳島県豊橋(愛知)

栗山が足しげく通う2軍の練習場。ケガをしたり1軍になかなかあがれずにいる選手一人ひとりに声をかける。「自分が必ず見ている」監督になった13年前から欠かさず伝えてきた。

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北海道日本ハムファイターズ鎌ケ谷(千葉)
野球界の名伯楽 栗山英樹 “選手を信じる”挫折と原点

昨シーズン、前人未到の50-50を達成した大谷翔平。2013年、日本ハムに入団した当初は二刀流は不可能、プロをなめるなと疑問視する声があった。監督だった栗山はその批判に一切耳をかさなかった。栗山はその時の決意を覚えている。選手のために命を張ると言い切る原点。栗山は少年野球の監督だった父の影響で小学1年のときに野球をはじめた。エースで4番、中学時代には地元では知られた存在だった。しかし、高校・大学では目立った活躍はできなかった。それでもプロへの夢はあきらなかった。22歳でヤクルトの入団テストを受け、合格。しかし、プロの世界は甘くなった。そんな時に声をかけてくれる人がいた。二軍監督の内藤博文。内藤は栗山と同じテスト生あがりながら、1軍でレギュラーとなった努力の人だった。自分の可能性を信じてくれる存在は大きかった。栗山は地道な努力を重ね、やがて1軍に呼ばれ活躍の場を広げていった。そんな矢先にメニエル病が襲う。試合中に激しいめまいと吐き気に襲われた。入団から7年後、栗山は引退を決めた。一人前になれなかったトラウマはいまだにあるという。栗山はその後、キャスターとしてスポーツの面白さを伝える道に進んだ。球団経営も取材し、選手時代には見えていなかった野球の魅力に改めて気づいた。50歳のとき、北海道日本ハムファイターズの監督に就任。指導者としての経験がゼロだった栗山に心無い言葉がぶつけられた。栗山は自分より現場を知ってる人をとことん信じてみようと決めていた。今いる優秀なコーチとともに進みたいと対話を重ねて教えを乞うた。選手の傍らに立ち声をかけつづけた。期待されながらも3年間1勝もできなかった吉川光夫投手にも声をかけ続けた。自分がそうしてもらったように。吉川はその年14勝をあげMVPに選ばれた。

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ジョージ・フォスタージョー・ディマジオノーラン・ライアンメニエル病内藤博文北海道日本ハムファイターズ大谷翔平東京ヤクルトスワローズ
野球界の名伯楽 栗山英樹 “第二の人生”に寄り添えるか

プロ野球がシーズン終盤をむかえていた9月。栗山は来シーズンのチーム編成に奔走していた。この日、見届けたい2軍の試合があった。それはプロ12年目の鍵谷陽平、栗山が日本ハムの監督に就任したばかりの頃に獲得したピッチャーだった。鍵谷の歩みは決して順風満帆ではなかった。けがに悩まされ移籍するも戦力外となり栗山の元に戻っても1軍にあがることはできなかった。引退後の進路はまだ決まっていなかった。栗山は自分は選手を愛しぬいているのか分からなくなっているとめずらしく気落ちしていた。視察に訪れた球場で巨人の幹部から声をかけられた。チームの裏方という選択肢、栗山は鍵谷にその適切があると考えていた。

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北海道日本ハムファイターズ平塚(神奈川)栗山町(北海道)読売巨人軍鎌ケ谷(千葉)
野球界の名伯楽 栗山英樹 “常勝軍団”へ 決断の一手

鍵谷の進路を考えている中、ショッキングな知らせが飛び込んできた。30年以上チームを支えてきたベテランスタッフ2人の退団。周囲から熱い信頼を集めていた2人だった。新たな一手が必要だった。それはメジャーで学んだチームをつなげる役職コーディネーターからの着想だった。アナリストとコーチの部門を横断的にみる新たなポストを作るという。チームにとってはじめての難しいポジションを鍵谷にと考えていた。栗山は鍵谷に新しいポストへの就任を打診した。そして、来シーズンへ向けてのスタッフ人事は大詰めをむかえていた。11月、新体制が発表された。データ分析や選手育成に詳しい人物を招集した。2軍の練習場にともに歩むことを決めた鍵谷がいた。チームには新たにプロの世界に飛び込んだ若者もいる。ドラフトで1位指名した柴田獅子、高校では二刀流として活躍。栗山にとってプロフェッショナルとはと聞くと、「自分勝手な人」だと話した。

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北海道北海道日本ハムファイターズ東京都福岡大学付属大濠中学校・高等学校福岡県
(エンディング)
次回予告

プロフェッショナル 仕事の流儀の次回予告。

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