静岡県浜松市の小さな食堂では、不思議な光景が見られる。中学1年の大久保海輝さんの夢は靴磨きの職人。海輝さんはこのお店の一角を借りて1足100円から500円で靴を磨いている。SNSを通じて、自宅にもたくさんの靴が贈られてくるようになった。これまでに磨いた靴は1000足以上。靴磨き職人を目指すようになったのは、9歳の時のある人との出会いがきっかけ。佐原総将さんは靴磨きをしながら世界一周をする職人。海輝さんは靴磨き1つで世界中の人を笑顔にする姿に憧れ、すぐに弟子入りを志願した。これまでも急に熊本に行きたいなど、家族はてんてこ舞いだった。この春海輝さんはあることを思いついた。去年元日の自身で大きな被害を受けた能登半島。今の姿を自分の目で確かめたいとおもった海輝さんはあるプロジェクトを立ち上げた。お気持ち代という形で、少し多めの料金を受け取り、能登の人たちには無料で靴を磨くという。出発直前、アフリカから帰国したばかりの佐原さんに再会した。佐原さんから海輝さんにアドバイスを話した。プロジェクトの立ち上げから、100足以上の靴を磨いてきた海輝さん。4月に輪島市へ向かった。日本三大朝市とも言われる輪島朝市は大規模な火災の影響で300棟ほどが焼けた。現在も撤去作業が続いている。この日靴磨きをするのは輪島市のスーパー。震災で被害を受けた朝市が場所を移し、出張朝市として営業している。その一角をお借りすることになった。全壊した家から見つかったスニーカーなどを磨いた。海輝さんのもとには泥まみれになったランドセルもとどいた。作業は3時間に及んだ。この後お子さんの元へ届けられたとのこと。続いて向かったのが隣町の仮設住宅。指の体温でクリームを馴染ませることで光沢を出す。去年6月に亡くなった夫の靴を持ってきた人もいた。女性にはサイズが大きい靴だが、履いていると一緒にいるような気持ちになれるとのこと。