アメリカのトランプ大統領が選挙前に掲げた政策を本格的に実行し始めた状況に警鐘を鳴らすのは、UBSグローバルウェルスマネジメントでアメリカ経済の分析を担当するシニアエコノミスト・ブライアンローズ氏。今年のアメリカ経済の見通しを聞くと「トランプ政権の政策全部合わせて若干マイナスの影響になるのではないか。今までの3%近いの成長率は続くのは難しいと思う」。新型コロナの感染拡大以降アメリカの実質GDP国内総生産は強い伸びを示してきた。ただ今後この伸びが2%前後に減速すると予測。その要因はトランプ大統領が進める不法移民の取り締まり強化と関税の引上げ。ローズ氏は移民対策が進めばアメリカの労働人口が減少し人手不足が深刻化すると予想。また需要も減少し景気交代につながりかねないと見ている。「移民がいないと雇用者数はあまり伸びることがないと心配している」。さらにメキシコやカナダ、中国からの輸入品に対する関税の引上げは経済全体に大きなショックを与えると考えている。そうした中、投資に関しローズ氏が主張するのは投資の基本への回帰。UBSグローバルウェルスマネジメントは今後、アメリカ企業の利益拡大の流れが続く一方、FRBが6月頃に利下げすると予想。年末にかけてS&P500は6600まで上昇すると見ている。しかし、今投資すべき金融商品は債券だとし「金利が高いうちに長期国債を買った方がいい」。などとローズ氏は語った。