三井住友信託銀行・山下さんはきょうのドル円予想レンジを148.40円~149.20円とし、「19日のFOMCでは市場予想通り政策金利が据え置かれた一方、経済見通しではGDP予想が引き下げられ、量的引き締めのペース減速も決定されたことでハト的な印象を市場に与え、米金利低下・ドル安が進行した。また、本日は中古住宅販売など慎重な米経済市場を確認したことを背景に、ドルの買い戻しが進んだ。祝日明けの東京時間朝方の動きには注意が必要だが、日米の金融政策決定会合も通過し、ボラティリティも低下していることから落ち着いた値動きになると予想している」と話した。また、注目ポイントには「FRBが恐れる不確実性」と挙げ、「一昨日のFOMCでは関税等による不確実性の高まりが強調され、経済見通しではGDP予想が引き下げられた一方でインフレ予想は引き上げられた。関税によるインフレは一過性との見通しを政府もFRBも示す中で景気減速の兆候があるのか、FRBのもう1つの責務である雇用の数字に着目したい。再就職斡旋会社『チャレンジャー社』が発表する人員削減数の2000年からの推移を見てみると、今月発表の数字がコロナ禍以来の高水準に急上昇した。過去を振り返ると『ドットコムバブル』の崩壊、リーマンショックやコロナウイルスのパンデミックなど過去の景気後退局面で急上昇していることが分かる。次に新規失業保険申請者件数と『チャレンジャー人員削減数』の推移を比べてみると、今月発表されたものを含め新規失業保険申請者件数にはまだ優位な上昇は確認できていないが、今後の急激な増加には注意が必要と考えている。昨年夏の雇用統計でアメリカの景気後退懸念が高まり株が急落し急速に円高ドル安が進んだことが記憶に新しいが、足元でアメリカの株とドルインデックスは相関が高く、株安局面ではドル安になりやすいことが分かる。これは政策金利に利下げ余地がまだあると考えられており、景気後退局面ではFRBが積極的に利下げをしてくれるという期待が高まりやすいことが大きな背景であると考えている。関税を始めとした不確実性が今後アメリカ経済にネガティブな影響を与えが場合、急速に景気後退懸念が高まり利下げ織り込みの増加とともにドル安となるケースには注意が必要と考えている」と話した。