さらに目に見えず味もないあるものが人を集めている地域も。千葉・神崎町で人を呼び寄せているのが麹。酒蔵が主催する発酵文化体験ツアーには、国内外から旅行者が訪れる。この日は国内に住むアメリカ人の一行が参加した。江戸時代から酒や味噌などの発酵食品を生産が盛んで、関東の灘ともいわれていた神崎町。2012年、老舗が次々と店を閉める中、伝統を残そうとはじめたのが酒蔵まつり。人口6千人ほどの町に1日2万人超が訪れた。これをきっかけに町が未来を託したのが、発酵のまちづくり。9年前には発酵をテーマにした道の駅を建設した。その2階で発酵食品の体験講座が行われていて、毎回満員。道の駅の来訪者は年間85万人を超えるまでになった。発酵の町づくりは食文化の掘り起こしにもつながっていて、町内に11ある飲食店は発酵食品を使ったメニューを開発した。この店で使っているのは地元特産のピーナツ味噌。今ではこの味を求めて全国各地から観光客が訪れるという。