東京11区では、9期連続当選のベテラン議員が裏金問題で窮地に立たされている。自民党安倍派の元幹部で、文部科学大臣や党の要職を歴任した下村博文氏は、1996年の初当選以降、一度もこの東京11区で敗れていないが今、最大の危機が訪れている。裏金問題を巡って、安倍派の事務総長を務めた下村氏は、党から1年間の党員資格停止処分を受け、無所属での立候補に追い込まれた。おわび行脚に加えて、専門の教育改革で必死に支持を訴えるが、自民党の看板を失った下村氏に対し、立憲民主党の阿久津幸彦氏が大接戦を繰り広げている。立憲民主党は下村氏から選挙区を奪う千載一遇のチャンスとして、東京11区を最重点区と位置づけ、攻勢を強めている。野田代表もトップ就任後、初めての街頭演説先に選んだのがこの選挙区だった。一方、元栃木県の足利市長で、日本維新の会から立候補している大豆生田実氏は、今回の選挙では下村氏を支えてきた自民票が分散していると手応えを感じている。共産党から立候補している伊波政昇氏は、裏金は組織的な犯罪だと追及している。この他、無所属で立候補している斎藤孝幸氏はSNSなどで政策を訴える。大接戦となった東京11区。政治とカネをめぐる有権者の判断まであと4日と迫っている。