チーム年間優勝を決めたトヨタ。シーズンを振り返ってみると、12戦で11勝と圧倒的強さを誇っている。そのトヨタの原点には亡き仲間との思いがつまったサーキットの存在があった。ドイツ西部にあるニュルブルク。モータースポーツが盛んな町。ここのサーキットで1年に1度開催されるのが、ニュルブルクリンク24時間レース。28万人が押し寄せる。134台の車が一斉にスタート。トヨタが参戦して18年、挑戦し続けるのには理由があった。ここのサーキットは規格外の大きさ。1周の距離は約25km。日本のサーキットに比べると5倍。そして高低差は約300mと東京タワーに匹敵する程。ここを24時間走り続ける。荒れたコンクリートの上も全開で駆け抜けるため、マシンの耐久性も重要。この過酷なサーキットでいかに早く強く走り切るのか。ニュルブルクリンクは世界の自動車メーカーが技術力を競う新車開発の聖地。このサーキットで学んだデータは、トヨタの市販車はもちろん、世界ラリーをはじめとするモータースポーツにも生かされている。世界中のどんな環境でも最高の性能を発揮できる車づくり。ニュルブルクリンクはそのノウハウを生み出す実験場。そしてもう1つ、日本から遠く離れたドイツにこだわり続ける深い理由。その鍵を握るのは豊田章男会長。今年の24時間レースにドライバーの1人として出場していた。企業のトップでありながらハンドルを握る。そのきっかけを与えた人がいる。成瀬弘さんは、車両開発のテストドライバーを31年間務めた。ニュルブルクリンクの豊富な走行経験から「ニュルマイスター」と呼ばれ、マシンの開発に尽力。しかし2010年、テスト中の事故により帰らぬ人となった。豊田会長がドイツに来ると必ず訪れるのは、成瀬さんが眠る場所。2人の出会いは23年前、成瀬さんの「我々テストドライバーは命を張っているということを知っておいて欲しい」との言葉が今でも忘れられないと豊田会長は言う。「本当に車をわかる人がトップになれば、強い車が生まれる」、それが成瀬さんから受け取った思いだった。2007年、こうして二人三脚で始まった24時間レースの挑戦。当初は走り切るのが精一杯だったが、その後も成瀬さんの思いを受け継ぎ、年々マシンは進化し続けていった。そして今年も成瀬さんと一緒に134台でスタートしたレースは、3分の1が脱落する中、トヨタは24時間をトラブルなく見事完走。クラス別では優勝を掴み取った。成瀬さんの思いが詰まったニュルブルクリンク。これが世界で快進撃を続けるトヨタの原点だった。
住所: 三重県鈴鹿市稲生町7992
URL: http://www.suzukacircuit.jp/
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