最悪の場合の死者数は29万8000人。ことし春、南海トラフ巨大地震の新たな想定が出された。命を守る備え「事前防災」の取組が各地で進んでいる。1年を通じて大勢の観光客が訪れる鎌倉「小町通り」。課題は、土地勘のない観光客を津波からどう逃がすか。南海トラフ自身では鎌倉市にも最大10mの津波が襲来。被害は小町通りまで及ぶ恐れも。懸念されているのは群衆なだれ。現在、避難方法について案内看板はない。目指すのは店員が自ら避難しつつ、観光客を導く「率先避難者」となること。商店会は今後、避難の目印やマップなどを整備する方針。事前防災に動きは、南海トラフ巨大地震が懸念される高知県・黒潮町でも進められている。今では防災の町として注目される黒潮町。しかし、13年前、初めて出された34mの津波の想定に町中が衝撃を受けたという。町が整備を進めたのが津波避難タワー。さらに家屋の耐震化も進めた。町では1戸あたり100万円以上の補助金用意。職員が戸別訪問し耐震化を行うよう訴えてきた。国は避難の徹底により津波の死者を7割、耐震化で全壊する建物を7割、それぞれ減らせるとしている。