日本で暮らす外国にルーツがある人たちの高齢化に伴う問題について。仕事や結婚などで来日し長年社会の一員として過ごしてきた人たちが認知症で日本語を話せなくなり、母語でしかコミュニケーションが取れなくなるケースがある。母語がえりと呼ばれる。その数は詳しくは分かっていないが、今、日本で目立ち始めているのが朝鮮半島や中国にルーツがある人たちの母語がえり。対応を迫られている現場を取材した。神戸市長田区にある認知症の人たちが暮らす施設。日本以外に韓国、中国、ベトナムなど多様なルーツを持つ18人が入居している。この韓国出身の女性は半年ほど前から日本語に韓国語が混ざる母語がえりが始まった。7年前からこの施設で暮らしているこちらの女性。韓国で生まれ、30年ほど前に来日。飲食店などで働いてきた。その後、アルツハイマー型認知症になり、日本語を徐々に話せなくなっていった。深夜の外出を繰り返し、警察に保護された際には日本語がほとんど話せなくなっていた。取材中、女性が韓国語で何かを訴えていた。この施設では韓国語ができるスタッフを雇い、こうした事態に対応している。ソファーに置かれた赤ん坊の人形に話しかけていただけだと分かった。現在施設はほぼ満員だが、新たな入居の申し込みが相次いでいる。神戸市とその周辺では外国にルーツがある人を積極的に受け入れる施設は少ないのが現状。