今回の価格高騰。コメの生産現場は、複雑な思いで受け止めている。新潟・南魚沼市の農家・青木拓也さんは、生産した米を直接、卸売り業者などに販売していて、ことし2割の値上げに踏み切った。青木さんのもとには、去年の約5倍の注文が入っている。近年ウクライナ情勢や円安の影響などで、肥料や燃料などの生産コストが上昇し、厳しい経営を強いられてきた。ことしは上昇した生産コストの一部を米の価格に反映することができた一方で、懸念も抱えている。「コメ離れ」が加速し、長期的には消費が落ち込むのではないかという。青木さんは「“コメが上がったから買わない”そういうふうにはならないでほしい」と語った。宇都宮大学・小川誠如助教は「米の持続的な生産と消費者の負担を考え、適正な価格について、政策の在り方も含めて議論していくべき」としている。食料安全保障という観点も注目を集める今、持続可能な農業の在り方について、しっかりとした議論をしていく必要がある。