南海トラフ巨大地震が起きると、神奈川から鹿児島で震度6弱以上、静岡から宮崎の一部地域で震度7、29万8000人が命を落とすと想定されている。30年以内の発生確率は80%。政府は7月の中央防災会議において、死者数を8割減らすことなどを掲げた防災計画を正式決定の見通し。海辺の人気観光地鎌倉市では対応に追われている。去年の鎌倉市の観光客は1600万人。大賑わいの小町通りなども津波に飲み込まれる可能性がある。1923年の関東大震災では、鎌倉市の住宅は津波で倒壊した。御霊神社の宮司は「守るものがたくさんあるのでどうしたものか」などと話していた。鎌倉市は外国人観光客向けにピクトグラムや英語表記の標識を試験的に設置しているが、現在は海岸近くの8か所のみ。今年度中に最低30か所に増やす予定だが、避難経路については鎌倉特有の難しさもあるという。多くの観光客で賑わう小町通りは、その3分の1が津波浸水想定区域に入っている。現在の想定では小町通りに避難する人が集中し、避難者数は多い時で2万人にのぼるという。土地勘のない人が大勢いることや、道幅が狭くなるという難しさがある中、商店会では率先避難者の育成を行っている。率先避難者は、店員自らが避難することで避難ルートの流れを作り観光客を導くというもの。商店会会長は「1人も犠牲者を出したくない」と話した。