1800種類以上の粘着剤を操って粘着フィルムを生産している日榮新化。粘着剤が持つ特性には粘着力による剥がれにくさ以外に粘着剤の柔らかさの度合いがある。貼り付ける面に凹凸がある場合、柔らかい粘着剤ならフィットして密着できるが、硬い粘着剤では凹凸に隙間ができて固定しづらくなる。粘着剤の柔らかさの度合いをベタつき力と言う。粘着剤とベタつき力はまったく相関がない。高いベタつき力は凹凸のある床などにしっかり密着させる粘着フィルムで必要とされる。一方、電子部品などに使う粘着フィルムは強い粘着力でしっかり固定できるため、ベタつき力はさほど必要ない。
工場では粘着剤の原料に用途によって異なる添加剤を加えて粘着剤の性能を整える。その粘着剤を剥離紙や剥離フィルムに塗って表面基材となるフィルムに張り合わせる。ここで重要なのが品質管理。粘着剤が均一に塗られているかどうか、1ロールごとにサンプルを選んで厚みを測って確認する。日榮新化では粘着フィルムに新たな機能を加えた製品も生み出している。日榮新化と関西ペイントが共同開発した漆喰を塗った粘着シートは乾燥しても漆喰が柔らかさを保つための添加剤を開発し、手すりなど平らな場所以外でも使えるようになった。漆喰には抗菌作用があるということで、コロナ禍では約1億円を売り上げた。日榮新化は1957年に粘着フィルムとラミネート加工で創業。日榮新化はフィルムに特化した。