ラグビーワールドカップ2019、福岡堅樹選手は1次リーグで3戦連続4トライと爆発した。しかしその影には苦難の道のりがあった。取材を始めた去年9月、所属するチームの練習場では福岡選手が昼食をとっていた。福岡選手の特徴は瞬足。イタリアとの試合では3人を抜き去り福岡選手の足はワールドクラスだと絶賛された。その爆発的な加速がどう生み出されるのか?専門家によると、足首のスナップをよく使っているためだという。しかし独特のフォームは膝に負担をかけてきた。福岡選手は高校時代に両膝のじん帯を損傷するなど2度の手術を経験し、去年2月にも右膝を手術するなど爆弾を抱えている。去年9月、100kgを超える相手と接触しピッチに倒れ強い脳震盪となり1週間の絶対安静となり、目前に迫っていた日本代表合宿への参加取りやめとなった。脳震盪から12日後練習に復帰できるかのチェックがおこなわれ問題はなかったというが、何度もすると後遺症が残ることもあるという。練習参加が認められた福岡選手、どこまでやるかは本人の意思に任された。実践練習にいきなり参加したが今度は膝に痛みが出た。それでも練習をやめることはなかった。福岡選手を駆り立てるラグビーへの情熱の原点はどこにあるのか?生まれたのは福岡県で5歳の時に経験者だった父親のすすめでラグビーを始めた。その後進学した福岡高校のラグビー部で熱血指導で知られる恩師の森重隆監督に出会う。森監督の口癖は“タックルにいかない男はラガーマンである前に男じゃない”。森監督が重視したのはタックル。常に前を向いて諦めない泥臭さこそがラグビーだ。福岡選手のラグビーへの情熱はこの時に培われた。去年11月、日本代表に復帰した福岡選手は脳震盪から1ヶ月後にワールドカップの試金石となるニュージーランドとの決戦にのぞんだ。日本は先制するもその後猛攻にさらされる。それでも福岡選手は果敢に突進し後半30分、福岡選手を起点にトライが決まった。敗れたもののニュージーランドを相手に5トライをあげ手応えを掴んだ。