きょう紹介するのは2016年に放送された「風の電話」。ゲストは被災地の声を集めたいとうせいこうで、逢えなくなった大切な誰かと風の電話でもう一度言葉を交わしたい人を追いかけたドキュメンタリー。風の電話は復旧しない駅を越えた高台にある。そこに孫を連れた女性がやってきて、津波で亡くなった夫と電話をさせていた。この電話があるのは故人の庭で、電話を置いた佐々木格さんは始めは自分の為で、震災の前の年に亡くなった従兄弟と話がしたいと思ったからだった。それから1年後、高さ13mの波が大槌の街を飲み込んだ。861人が亡くなり、今も421人の行方が分かっていない。残された人たちの為、佐々木さんは風の電話を解放した。風の電話は利用する為に事前予約が必要だが、現在までに4万5000人が訪れている。佐々木格は今年で80歳になり、「訪れる方がいる限り続けていきたい」と話している。