愛媛と広島を結ぶ通称「しまなみ海道」。世界有数のサイクリングロードとして高い知名度があるが、走って通り過ぎてしまうだけの人が多いことが課題。これをデジタルの力で解決しようという試みを紹介。開通から25年を迎えた「しまなみ海道」は、国内外から年間延べ30万人以上のサイクリストが訪れる。しかし、その行動が詳しく把握できていなかった。そこで去年秋から始めたのが、地元のレンタサイクルの運営団体と東京のIT大手などが共同開発したアプリの実証実験。アプリは自転車を貸し出す時にダウンロードしてもらい、休憩場所やおすすめスポットなどの情報を提供する。アプリは英語版もあり、国内外の人をターゲットにしている。利用者には年齢や居住地のほか、同意を得たうえで位置情報も提供してもらい、走行過程のデータを蓄積する。サイクリストたちが5分以上止まっていた場所を分析すると、観光地ではない場所に人が集中していたことが分かった。サイクリストたちが楽しんでいたのは、地元の人は気に留めないような急な潮流の様子だった。しかし、写真を撮るとすぐに走り去ってしまった。この地域はかつて村上海賊と呼ばれる一族が治めていた歴史があり、対岸の島には城跡も残っている。近くにはミュージアムもあるが、あまり知られていない様子だった。こうした人たちを地元の観光資源に誘導し、店にサイクリストの情報を提供することで、販売に役立ててもらい経済効果につなげたい考え。