香港がイギリスから中国に返還されて今月で28年。香港では今、北上消費と呼ばれる社会現象により経済の低迷が深刻化。香港では昨日、中国返還28年を祝う記念式典が行われた。中国返還以降も世界各国から観光客が訪れ、買い物天国として人気を集めた。しかし現在、市内の繁華街ではシャッター街と化してしまっている。香港を代表する繁華街ネイザンロードでも、目につくのはシャッターを下ろした店舗。トマトラーメン店は、コロナ禍明けも売り上げが回復せず4店舗の内一部は赤字に転落し2店舗を売却中。景気低迷の理由は「北上消費」。ここ数年、香港から物価の安い中国本土へ買い物などに行く人が急増。方角として北に向かうことから北上消費と呼ばれ社会現象になっている。安いだけではなく、香港に比べサービスへの満足度も高いという。香港市民は、去年から顔認証でスムーズに中国本土へ渡ることができるようになり、移動の垣根はますます低くなっている。香港メディアによると、先週土曜日には40万人以上の市民が本土を訪れたという。こうした本土への消費流出により、香港では経済的地盤沈下が進んでいる。香港では今、本土の店の進出ラッシュが顕著で、香辛料が効いた辛い中国発祥の食べ物や、レモンティーの店が人気になっているという。こうした状況に、香港の味を守ってきたラーメン店店主は「香港と中国の境目がどんどんなくなっている。本当の香港の味を広めて守っていきたい」などと考えている。香港ではまた、中国政府主導の政治的締めつけ強化で富裕層や子育て世代の海外移住も続いていて、景気低迷から抜け出す道筋は見えていない。