小売り業界でカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラへの対策を強化する動きが広がっている。大手デパートの高島屋は、カスハラへの基本方針を初めてまとめ、従業員への合理的な範囲を超える対応の強要や長時間の拘束、人格の否定や土下座の要求などをカスハラとしている。場合によっては対応を打ち切り、その後の来店を拒否するほか、さらに悪質と判断した場合は、警察や弁護士に連絡するなどとしている。また、コンビニ大手のローソンは、ことし6月から原則、実名としていた店舗の従業員の名札の表記を不特定多数の人に知られないようにするため、イニシャルや任意のアルファベットでも表記できるようにした。ローソン・千田シニアマネージャーは「従業員が安心して働いて、お客様に気持ちよく買い物していただけるよう、定義づけしていきたい」と話した。サービス業界などの労働組合が組合員に行ったアンケート調査によると、約4割がカスハラへの対策が特にされていないと回答していて、従業員をどう守っていくかが課題となっている。