ひとりの女性政治家が政界で繰り広げられる真相に迫る大逆転ミステリー「女の国会」を紹介。物語の舞台は政治の中心地・永田町。国会のマドンナと呼ばれる与党議員・朝沼侑子がある日突然、自ら命を絶つ。世間では朝沼のライバル的存在であった野党議員・高月馨が原因なのではという声が広がる。死の前日にジェンダー問題に関する法案で朝沼をひどく叱責した様子が報道されてしまった。朝沼を良きライバルと認めていた高月には叱責が原因とは思えなかった。しかしネット上で炎上はやまず、その地位は危ぶまれていた。高月は自分の無実を晴らすために死の真相を探る。その高月のもとに1人の新聞記者が訪ねてくる。朝沼が死の直前に1枚の写真を送っていて手書きのメモが写されていた。朝沼は自身の性別に悩んでいたことを知った。新川さんは、女性差別やジェンダーの状況をどうにか変えるために個々人がちょっとずつ踏ん張らなきゃいけない場面が誰にでもあるとし、そのひと踏ん張りを描きたい、そういう気持ちになってもらえるといいなと考えていた。自らの性に苦しんでいた朝沼。彼女の本音を知った高月は朝沼の婚約者や生前親しかった人物とコンタクトをとり死の原因を調べていく。すると、メモに秘められた重大な真実にたどり着く。さらに空いた議席を巡り政界を揺るがす大きな陰謀へと繋がっていく。新川さんは、政治の話は遠いイメージがあるが、読者に自分と重ねて我が事のように読んでもらう必要があると思っていて、永田町を内側から書く没入感を注意して書いたという。物語終盤、高月はメモに込められた想いを知る。さらに朝沼の死に関わるある人物に迫って行くのだった。新川さんは、ミステリーのどんでん返しは人間の多面性だと思っていて、色んな面があることを大事に書こうと思っているという。