高額な医療費の自己負担を巡って動きがあった。焦点となっているのは高額療養費制度。がんなどの病気の治療や手術などで医療費が高額になった場合、患者の自己負担額に上限を設ける制度でいわゆるセーフティーネットの役割を果たしている。政府は今年8月から自己負担の上限を引き上げる見直しをすでに決定している。これに対して患者団体がきょう厚労大臣に直接見直しのいったん凍結などを求めたという。高齢化高額な薬の普及などによって高額療養費の支給総額が2019年度からの4年間で600億円以上増加している。これが働く現役世代の保険料の増加につながっており、政府はこの現役世代の負担の軽減と少子化対策の財源確保を目的として年収に合わせた月の上限額の引き上げを行う方針。上限額を見直して働く世代の保険料の負担がどれくらい軽くなるかというと中小企業の会社員で1人当たり年間およそ3500円程度と試算されている。このため患者団体はこの見直しに反発していて厚労大臣への直訴となった。患者団体は自己負担額の引き上げによって受診控えが起きると懸念しており、子供がいるがん患者の4割が治療を中断、6割が治療回数を減らすと回答していると引き上げのいったん凍結などを求めた。厚生労働省は今回の見直しで5330億円、税や保険料を減らすことができるとしているが、そのうちの2270億円は受診をやめる受診控えが起きると想定した数字。国会で立憲民主党がこの見直しの1年間の凍結を求める法案を出す構えだが、自民・公明の与党は働く世代の保険料負担を減らすために見直しの全面的な凍結ではなく長期的な治療が必要な人について負担を軽くする修正で決着したい考え。