鬱や統合失調症など精神疾患の患者数が近年、増加傾向にある。最新の推計では614万人にのぼる。そのうち、精神科の入院患者は27万人あまり。その6割以上が1年以上入院していて、諸外国に比べて極端に長い入院が人権の観点から問題だと国際的にも批判を受けている。国は入院期間の上限を設けるなど、長期入院の解消を進めようとしているが、退院後の生活には大きな課題がある。摂食障害を患っている25歳の女性。この8年で20回ほど入退院を繰り返していた。病気を発症したのは高校生のころ。ダイエットのプレッシャーから食事が取れなくなり、体重は27キロにまで落ち込んだ。入院で症状が回復し、自宅に戻っても親や友人には“つらさ”を打ち明けられず、退院後の生活は長続きしなかった。一緒に暮らしている母親は入退院を繰り返す娘をどう支えればいいか悩んできた。精神的に不安定にあると自傷行為に走る娘から目が離せず、仕事を抑えてできる限りそばにいるようにしてきた。娘の将来を考えると不安感が強くなり、母親自身も精神科への通院が続いている。退院後の生活に悩む2人が頼りにしているのが精神科の訪問看護。丁寧に悩みを聞き、症状が悪化しないようケアをしている。