栃木県日光市にある、関東屈指の人気温泉地・鬼怒川温泉。そこから車で30分ほどの集落で、道路沿いに冷蔵庫が置かれていた。人口約900人の栗山地域で、冷蔵庫があるのは6か所。ほとんどはバス停付近に置かれていた。冷蔵庫の中には何も入っておらず、電源ともつながっていなかった。実はこの冷蔵庫は集落の新聞受け代わりに使われていた。かつてこの地域では、中学校にまとめて配達された新聞を下校時に子どもたちが届けていた。しかし学校に通う子どもが少なくなり、配達は無くなったという。そこで日光市内のバス会社が毎日始発の運行時に朝刊を運び、冷蔵庫に入れていた。冷蔵庫なら激しい雨や雪でも新聞が濡れないと、地域の人々の知恵で生まれた新聞受けだった。
