2014年、開発スタート。JAXAが練り上げた基本使用は三菱重工へ送られる。ここでパーツごとの図面に落とし込み試作機を製造する。田村らはスパコンでの予測を繰り返し製造前に不具合の芽を潰していった。3年後、LE-9の試作機が種子島に運び込まれ燃焼試験が行われた。LE-9には重さ400トン以上の機体を高度200kmまで運ぶため300秒の燃焼が求められる。燃焼試験も終盤を迎えた2020年の5月末、試験後、エンジンの周辺に何かがこすれたような金属の粉が落ちていた。不具合の場所はエンジンの要であるターボポンプだった。問題が起きたのはタービンの羽根で亀裂が生じていた。原因を分析すると、タービンを高速回転したときに生じる振動だということが分かった。岡田は打ち上げを延期し来年度にするという苦渋の決断をした。