2024年問題に対応しようと、国が立ち上げた専門部隊「トラック・物流Gメン」。トラック・物流Gメンはドライバーや運送会社の声を集め、荷主たちに改善の働きかけや要請を行う。それでも改善されない場合は国土交通省が勧告を出し、企業名の公表に踏み切る。この日は商品の運送を依頼している飲料メーカーを抜き打ちで訪れた。メーカーは運賃の値上げに応じると、製品価格も値上げしなければならず、それではスーパーなどの届け先が納得しないという。トラック・物流Gメンはメーカーなどの業界団体と定期的に意見を交わしている。企業からは届け先の企業にも呼びかけるべきだと声が寄せられた。とあるスーパーでは、これまで別々に運ばれていた冷蔵と常温の商品を一度にまとめてもらうなど、効率化を進めてきた。こうした取り組みで浮いたお金を上乗せすることで、運送会社に支払われる運賃は5~8%上がったという。しかし、これ以上の値上げは商品価格への転嫁も検討せざるを得ず、決断は難しい。国土交通省から勧告を受けたのは家電などを納品する企業。運送会社に2時間以上の荷待ちや積み込みなどを強要しているとして月に1度、改善状況を報告するよう命じられた。勧告から2か月、企業では10月までに改善することを目指して週に1度、経営陣が進捗を共有している。現場で話し合われていたのは積み込みが集中する朝の対応。他の倉庫に振り分ける調整が行われていた。トラックが出入りする時間の管理方法も見直している。これまでは手書きの台帳で管理を行ってきたため、荷待ちの状況を詳細に把握することができなかった。今目指しているのは全国の拠点で管理をデジタル化すること。どのトラックが荷待ちしているのかをリアルタイムで把握し、迅速な対応につなげようとしている。こうした対策に運送会社の意見も取り入れ始めた。今後、取り引きのある約400社と打ち合わせを行っていく予定。