死者と行方不明者が合わせて63人に上り、戦後最悪の火山災害となった御嶽山の噴火からあすで10年。噴火で夫を亡くした女性は、この夏初めて慰霊の登山に参加し、夫の最期に向き合った。当時、夫は47歳。夫が突然いなくなった喪失感は、あまりに大きなものだった。松井さんは災害の記憶にあえて蓋をして、この10年、3人の子どもを1人で育ててきた。しかし、当時高校生だった三男が社会人になると、気持ちに変化が出てきた。1人の時間が増える中で、夫の最期に向き合いたいと考えるようになった。毎年、遺族会が続けている慰霊登山。これまで断ってきた松井さんは、この夏、初めて息子たちと参加した。登り始めてから4時間半。10年を経て、松井さん親子は山頂にたどり着いた。御嶽山が噴火した午前11時52分。遺族会の代表が、夫が亡くなっていた場所へ3人を案内した。噴石から逃れるため、神社の物陰に身を寄せていたという。初めて知った夫の最期だった。御嶽山噴火の遺族たちの歩みを見つめた「Dearにっぽん」は、今週29日、朝8時25分から放送する。