LAWSを巡っては、法的拘束力を持って規制する国際的なルールはまだ存在していない。このため国連は、再来年までに何を禁止し、何を規制するのかを文書にまとめて締結するよう各国に呼びかけでいる。その議論に参加している専門家に話を聞いた。AIを使った兵器やその規制の議論に詳しい佐藤丙午教授だ。先週、スイスで開かれていたLAWSの規制のあり方などを議論する国際会議に参加した。佐藤教授は「完全自律で人間の手を離れた形で判断・攻撃する兵器は禁止。そこは合意されている。」また「関与は何か?人間とは何か?という大きなテーマが存在する。どこまで規制を行うべきか各国の意見は大きく分かれる。」などと話した。実は、日本の防衛省も攻撃用の無人機を自衛隊に導入する方針を固めている。防衛省は、AIを搭載することも否定していないが人間が関与せずに標的を判断して攻撃する運用は絶対にしないとしている。佐藤教授は「日本国内ではまだ、根本的な議論が進んでいない」と指摘する。佐藤教授は「”関与”とは何かや人間が関与するとはどういう状況を意味するのかについての定義を明確にしていない。日本の安全保障の議論では哲学的な議論をしてこなかった。そこについてのひとつの回答を出してほしい。」などと話した。人間が関与しなければ、あらゆる攻撃の責任の所在は曖昧になるおそれがある。人類が守るべき最後の一線と何なのか。佐藤教授は「LAWSが人間の手から完全に離れた兵器だとすれば、人道性が反映されない可能性がある。人間の関与についての議論を前提にした技術開発をどう担保していくかが 極めて重要だ。」と話した。「国際人道法」は、たとえ戦争であれ、民間人は保護されなければならないといったことを定めた国際的なルールだ。兵器を巡る技術開発がいくら進んだとしてもルールを守ることができなければ、歯止めがかからなくなる。LAWSをめぐる法的拘束力のある枠組みを決める期限は再来年。