米国・ニューヨーク市内に2020年にオープンした「ノズマーケット」で手巻きずしの価格は1本12ドルから。ほかにもテイクアウトで海鮮丼やちらし寿司を販売。本格的な味を楽しめるとあって、リピーターも多いという。さらに人気を集めているのが系列の高級寿司店「スシノズ」。ほとんどのネタを日本から空輸している。メニューはおまかせのみ。オープン当初は1人300ドル(約4万7000円)だったが、人件費の高騰などを背景に値上げを繰り返し、現在は1人550ドル(約8万6000円)で提供。それでも予約はすぐ埋まるという。ニューヨークでは、この店を含め18軒の日本食レストランがミシュランガイドで星を獲得。全体のおよそ4分の1を占めるまでになっている。円安で日本への旅行者が増えたことで日本食人気はさらに高まっているという。実際、日本の外食チェーンも出店を加速させている。コロワイドが運営する大戸屋には近くのオフィスで働いている人たちが次々と店の中に入っていく。コロワイドは、米国で焼肉チェーンの牛角を含め69店舗を展開している。ニューヨーク市内では、日本で知られているラーメンやカレーの店も次々と出店していてアメリカにおける日本食レストランの数は右肩上がり、2022年時点で2万3000軒(出所・ジェトロ)を越え今も拡大が続いている。海外事業への挑戦を打ち出したのは、鳥貴族を展開するエターナルホスピタリティグループ。鳥貴族は全品370円という安さを売りにしているが、海外進出には課題を感じていた。そこで発表したのが価格帯の異なるほかの焼き鳥店2社との協業。協業先の1社ハチベイクルーは、福岡を中心に焼とりの八兵衛を展開。客単価はおよそ5000円と中価格帯にあたる。ハワイやベトナムなど海外での出店経験も豊富で皮や手羽などの定番メニューだけでなく、春菊やきのこを牛肉で巻き、卵黄をつけて食べるすき焼き串などが海外で好評だという。もう1つの協業先は、ミシュラン一つ星を獲得した名店大阪の焼鳥市松。客単価はおよそ1万5000円と高価格路線。価格帯の異なる両社からノウハウを学び今後、北米やアジアを中心に出店を加速していきたい考えである。