SMBC日興セキュリティーズアメリカ・井野口志保さんの解説。上院、下院ともに共和党が多数派となる可能性が確実となる中、医療保険制度をめぐり何百万人もの米国人が医療保険を支払う際の補助金を失うリスクがある点を注視している。米国では去年時点で人口の約54%が勤め先を通して民間の医療保険に加入。一方、勤め先が保険を提供していない場合などは、オバマケアによって作られた各州のマーケットプレイスを通じて個人で加入する。マーケットプレイスを利用して保険を申し込むと、国から補助金を受け取り、民間医療保険や低所得者向けの公的医療保険、メディケイドなどに加入できるという仕組み。バイデン政権下では補助金が増額され保険加入者は増加したが、この措置は来年末で期限切れとなる。その後も延長するかどうかは、議会と大統領が決めることとなるが、現時点でトランプ氏と共和党は延長しない姿勢とみられている。トランプ氏は、減税を目玉政策として掲げている。オバマケアの補助金やメディケイドへの支出を削減することで歳出を減らし減税政策を推進したい狙いがあるとみられる。国民がより良い医療を受けにくくなるほか、メディケイドのビジネスにも影響が出てくる可能性があり、注意が必要と考えられるなどと解説をした。