きのう決算を発表したSMBC日興証券は、最終的な利益が前期の398億円の赤字から一転162億円の黒字に転換した。他の大手4社も利益が大幅に増えている。各社とも株高を背景に株式や投資信託の売買に伴う手数料の収入が伸びたほか、1月から新NISAが始まったことで顧客の裾野が拡大した。前回最高値をつけたバブル期の水準には遠く及ばない。かつて手数料を主な収入源にしていた証券会社だが、2000年代に入ると実店舗を持たないインターネット証券が主導する形で手数料の引き下げが急速に進む。去年秋にはSBI証券と楽天証券が国内株の売買手数料をゼロに踏み切った。コスト意識に敏感な個人投資家はネット証券に流れ、手数料で稼ぐビジネスモデルは崩れつつある。専門家はネット証券と住み分けを図り、富裕層を対象にしたビジネスモデルの確立が急がれると指摘する。海外には既に富裕層の試算管理に重点を置いて桁違いの利益を生む証券会社がいくつもある。