東京・渋谷のサイバーエージェントの伊藤は入社半年で子会社の社長を任されている。伊藤は縦型動画に特化した広告事業を展開している。サイバーエージェントの人事の柱は抜擢にあり、管理職が部下の適性を見極めて情報を役員と共有し、役員が判断して新人であってもプロジェクトリーダーに抜擢し、中には執行役員や子会社社長を任される人もいる。伊藤を抜擢に該当すると推薦した当時の直属の管理職であった久武は、責任者としてゼロから一つの事業を立ち上げるのはものすごく大変であるが、伊藤には自分で切り拓き、人のために食いしばって励める胆力に加えて忍耐力もあったため抜擢人材として送り出したなどと明かした。伊藤は縦型動画の広告事業は日頃から縦型動画を視聴している若い世代でないと理解ができないため自分のような若い世代が適正値の高い事業であり、自分が抜擢されたことはいい判断だったと言えるなどと伝えた。抜擢の狙いには若手を自走させることにあり、当初伊藤に用意されたのは資本金950万円のみで事業計画はおろかスタッフもいなかった。伊藤は勧誘から事業をスタートさせ、隈部は当時ライブ配信会社に勤めていたがそこを辞めて伊藤の子会社に入社しており、当時の伊藤には実績がなくとも鬱陶しいほどの熱量があったなどと明かした。こうした抜擢が始まったのはサイバーエージェントが上場した2000年に遡り、当時は経験豊富な人材の中途採用を実施していたが、その人材に育成された若手がどんどん辞職してしまっていたため、その反省から若手の自走に注力するようになり、新規の子会社を40社以上立ち上げている。社長となって1年半、伊藤は正念場を迎えており、事業拡大を狙ってSNS通販事業に多額の資金投入したが期待したほどの売り上げに達していなかった。伊藤は親会社の役員である中田に相談し、本質的な事業の弱点を見抜かれつつ具体的なアドバイスは貰えずにいた。伊藤は芸能やタレント関係に詳しいマーケティング統括の松本に相談し、タレントの訴求力でSNS通販事業への投資効果を高めたいと交渉した。若手自走によるサイバーエージェントの新規事業では累計売上高5047億円となっている。
